かくしごと
このコロナ禍で時間に余裕ができ、もう何年も俗に深夜アニメと呼ばれるものを見てきていなかったが、やたらPVに惹かれ、つい最後まで見てしまった。
やはり一貫して、父と娘の距離感について描いているのが良いのだろう。
これは、OPやEDの映像でもそうなのだ。
父と娘のテーマをぶらさない。
漫画原作ものを監督するのは初めてだったのですが、以前、大地丙太郎監督のもとで演出をしていた際に、「漫画原作物を扱う際、答えは全て原作の中にあって、アニメ屋が勝手な解釈を入れるべきではない」と強く言われたんですね。アングルや色合いは勿論、そのコマに背景まで描いてあるのか、キャラしか描いていないのか、それら全てに作家の個性や解釈が含まれているんだから、その意図を読み取る努力をしろと教えられました。
ここでも語っていたが、アニメーション全体に大地監督へのリスペクトが強く感じられ、ギャグとハートフルの塩梅がとても良い。
原作の味を最大限引き出した結果なのだ。
しかし、唯一疑問があるとすれば、キャラクターデザインだ。このデザインでは、キャラクターに演技をさせることが出来ない。
それによって、最後の演出にキャラクターがついていかない。
そこが、この作品の押しの弱さである。
まぁ、これは原作に寄るところが大きいのだろうが、だからこそ新房監督との相性の良さもあったのだなと感じてしまう。
何にせよ、最早、何を描きたいのか分からない、昨今の迷走しているアニメに比べれば、数倍良かったということは確信しているのである。