花とアリス殺人事件
私は脆弱ゆえ、アマプラに入会したり退会したりを繰り返しているのだが、今月は見たかった映画が追加されたので入会している月である。
「花とアリス」もかなり好きな作品で、前々から気にはしていたのだが、どうも岩井監督のアニメというのに抵抗感があって見れていなかった。
しかし、貧乏性が働いてか、見ることにした。(お目当ての映画も見ずにでだ。)
やはりというかなんというか、画創りの方は流石に苦しいものがあった。
なによりも表情や動きが硬い。その違和感が払拭できていなかった。
そして、ストーリーは小さな物語だ。
だが、この映画の本質は違和感と小さな物語である。
ロトスコープを使ったことにより、人間的仕草のリアリズムが担保されており、これに違和感を感じてしまうのは、やはりあまりにも私自身が従来のアニメというものに支配されている証拠なのだ。
そのリアリズムが積み重ねられたうえでの、何も起こらない小さな物語。
「花とアリス」の時もそうだが、この作品は一貫して、少女の日常から生まれる美しさを描いている。従来のアニメとは外れたリアリズムをもって、少女を描くからこそ、この映画には意味がある。
不思議なことに、見終えた時のストレスがまったく無かった。
この手の作品なら、感じそうなものなのだが、前述したものがきちんと機能していたとしか思えない。
アニメとして稀有な作品だと思う。